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結核:薬剤耐性結核を拡大させる時代遅れの施策が明らかに――最新の調査報告書を発表
時代遅れの対策が薬剤耐性拡大の助長に
報告書では、薬剤耐性を拡大させる恐れのある再治療方式や、治療中の入院勧告など、時代遅れの施策がいまだに残っていることが明らかになった。MSF必須医薬品キャンペーン結核アドバイザーのグラニア・ブリグデン医師は、「人びとの苦痛と死を助長しかねないこうした結核治療策は、取りやめるべきです。また、迅速分子検査の採用は薬剤耐性の診断に有効ですが、まだ十分に普及していません。発症と死亡と伝染の予防効果が知られている施策を全ての国が全面的に採用・実践し、いま考えられる限りの最善を尽くさなければ、結核診療の著しい遅れは解消できないでしょう」と訴える。
報告書の調査対象24ヵ国の間で、結核と薬剤耐性の迅速分子検査を、結核診断の全対象患者の1次検査に採用する施策を導入しているのは約30%(8ヵ国)のみ。この施策は資金面の課題を伴うが、早期の診断と治療開始、感染の連鎖の打破、費用の長期的な影響の低減、薬剤耐性結核(DR-TB)症例の発生と結核による世界全体の負荷軽減のために、各国は迅速分子検査の利用拡大を検討すべきである。WHOの10月の発表では、2014年中に48万人が多剤耐性結核(MDR-TB)を発症したと見られている。しかし、そのうち診断を受けた人は26%にとどまり、治療を始めた23%(11万1000人)のうち、治癒に至った人は半数に満たない。
さらに、調査対象国の約60%(14ヵ国)が継続する「カテゴリーII」の再治療方式(注1)は、MDR-TBとHIV/エイズの二重感染率が高い国では成果に乏しい。各国が全ての結核患者の診断プロトコルを迅速分子検査に切り替え次第、この治療方式はWHOの勧告に従い段階的に廃止されるべきだ。
報告書ではまた、9ヵ国がいまもDR-TB患者に治療の全期間または一部期間の入院を求めていることがわかった。MSF南アフリカの副医療プロジェクト・コーディネーターを務めるヴィヴィアン・コックス医師は「資源に乏しい環境であっても、DR-TB患者の入院は必要でなく、自宅療養も可能であることがMSFのプログラムなどで証明されています。分散型のDR-TBケアは治療プログラムの費用対効果を高め、医学的効果も集約型ケアとそん色なく、患者とその家族、そして地域社会にとって有利な点がはるかに多いです。また、DR-TB患者の生存率を可能な限り高められるかは、臨床医があらゆる新薬と既存薬を入手できるかにかかっています。必要な結核薬の入手が阻まれれば、ほとんどの場合人命にかかわってきます」と説明する。
適切な医薬品の調達と治療方式の刷新が急務
自国の必須医薬品リストに既存のDR-TB治療薬を漏れなく収載していることが確認された国は調査対象のうちの約12%に過ぎない。65%の国が治療の選択肢の尽きた患者のために最新の結核薬の調達を進めており、製薬企業が当該薬を最も必要とする国々で登録することが不可欠だ。そうなれば、新薬と、新たに結核が適応症となった薬の、DR-TB治療における使用拡大が期待できる。
ブリグデン医師は「初めの一歩として、結核被害の著しい全ての国が迅速検査を行い、時代遅れの再治療方式を1年以内に段階的に廃止し、義務的な入院を取りやめるべきです。結核に正面から取り組むため、全ての国が施策を刷新し、今後3年間でWHOの勧告を満たすことが求められます」と述べている。
報告書を結核対策拡大のきっかけに
ストップ結核パートナーシップ事務局長のルチカ・ディトゥ医師は「ストップ結核パートナーシップの『2016-2020グローバルプラン』に盛り込まれた90-(90)-90の目標(注2)と、WHOの『End TB Strategy』による長期目標を達成するには、各国の結核施策が、最善の結核診療のための国際的な勧告と早急に歩調を合わせる必要があります」と話す。
「国および地域レベルでの結核指針採用には時間を要するでしょうが、多くの国がその方向に進んでいます。2014年に発表されたばかりのWHOの小児結核に関する新指針を、『Out of Step』の調査対象国の30%が既に採用し、結核の小児患者の助けとなっていることがわかりました。今回の調査報告書が結核対策の重要性を改めて強調し、各国の取り組み拡大のきっかけとなるよう願っています」
(注1)「カテゴリーII」の再治療方式:「カテゴリーII」の再治療方式は、既治療歴のある結核患者全員に推奨されてきたもので、ストレプトマイシンを通常の第一選択薬に加えた上で治療方式を8ヵ月間に延長するというもの。WHOが出した最新の指針によれば、第一選択薬による再治療方式はMDR-TBには効果がなく、MDR-TBのリスクが低い地域でのみ検討対象に加えてもよいとされている。そのため有効な治療方式を用いて治療を開始するには、MDR-TBの即時発見が不可欠となる。
(注2)ストップ結核パートナーシップの「2016-2020グローバルプラン」に盛り込まれた90-(90)-90の目標は以下の通り。1. 全ての結核感染者で治療が必要な人のうち、少なくとも90%を発見し、適切な治療を開始させること(第一選択薬、第二選択薬のほか予防薬を利用)。2. 全ての結核感染者の少なくとも90%を発見する活動の一環として、もっとも弱い立場に置かれ、サービスが行き届いていないハイリスク群に代表される主要集団の少なくとも90%を発見することに注力していく。3. 安価な診療、アドヒアランスと社会的支援を通じて治療成功率を少なくとも90%に引き上げる。
報告書では、薬剤耐性を拡大させる恐れのある再治療方式や、治療中の入院勧告など、時代遅れの施策がいまだに残っていることが明らかになった。MSF必須医薬品キャンペーン結核アドバイザーのグラニア・ブリグデン医師は、「人びとの苦痛と死を助長しかねないこうした結核治療策は、取りやめるべきです。また、迅速分子検査の採用は薬剤耐性の診断に有効ですが、まだ十分に普及していません。発症と死亡と伝染の予防効果が知られている施策を全ての国が全面的に採用・実践し、いま考えられる限りの最善を尽くさなければ、結核診療の著しい遅れは解消できないでしょう」と訴える。
報告書の調査対象24ヵ国の間で、結核と薬剤耐性の迅速分子検査を、結核診断の全対象患者の1次検査に採用する施策を導入しているのは約30%(8ヵ国)のみ。この施策は資金面の課題を伴うが、早期の診断と治療開始、感染の連鎖の打破、費用の長期的な影響の低減、薬剤耐性結核(DR-TB)症例の発生と結核による世界全体の負荷軽減のために、各国は迅速分子検査の利用拡大を検討すべきである。WHOの10月の発表では、2014年中に48万人が多剤耐性結核(MDR-TB)を発症したと見られている。しかし、そのうち診断を受けた人は26%にとどまり、治療を始めた23%(11万1000人)のうち、治癒に至った人は半数に満たない。
さらに、調査対象国の約60%(14ヵ国)が継続する「カテゴリーII」の再治療方式(注1)は、MDR-TBとHIV/エイズの二重感染率が高い国では成果に乏しい。各国が全ての結核患者の診断プロトコルを迅速分子検査に切り替え次第、この治療方式はWHOの勧告に従い段階的に廃止されるべきだ。
報告書ではまた、9ヵ国がいまもDR-TB患者に治療の全期間または一部期間の入院を求めていることがわかった。MSF南アフリカの副医療プロジェクト・コーディネーターを務めるヴィヴィアン・コックス医師は「資源に乏しい環境であっても、DR-TB患者の入院は必要でなく、自宅療養も可能であることがMSFのプログラムなどで証明されています。分散型のDR-TBケアは治療プログラムの費用対効果を高め、医学的効果も集約型ケアとそん色なく、患者とその家族、そして地域社会にとって有利な点がはるかに多いです。また、DR-TB患者の生存率を可能な限り高められるかは、臨床医があらゆる新薬と既存薬を入手できるかにかかっています。必要な結核薬の入手が阻まれれば、ほとんどの場合人命にかかわってきます」と説明する。
適切な医薬品の調達と治療方式の刷新が急務
自国の必須医薬品リストに既存のDR-TB治療薬を漏れなく収載していることが確認された国は調査対象のうちの約12%に過ぎない。65%の国が治療の選択肢の尽きた患者のために最新の結核薬の調達を進めており、製薬企業が当該薬を最も必要とする国々で登録することが不可欠だ。そうなれば、新薬と、新たに結核が適応症となった薬の、DR-TB治療における使用拡大が期待できる。
ブリグデン医師は「初めの一歩として、結核被害の著しい全ての国が迅速検査を行い、時代遅れの再治療方式を1年以内に段階的に廃止し、義務的な入院を取りやめるべきです。結核に正面から取り組むため、全ての国が施策を刷新し、今後3年間でWHOの勧告を満たすことが求められます」と述べている。
報告書を結核対策拡大のきっかけに
ストップ結核パートナーシップ事務局長のルチカ・ディトゥ医師は「ストップ結核パートナーシップの『2016-2020グローバルプラン』に盛り込まれた90-(90)-90の目標(注2)と、WHOの『End TB Strategy』による長期目標を達成するには、各国の結核施策が、最善の結核診療のための国際的な勧告と早急に歩調を合わせる必要があります」と話す。
「国および地域レベルでの結核指針採用には時間を要するでしょうが、多くの国がその方向に進んでいます。2014年に発表されたばかりのWHOの小児結核に関する新指針を、『Out of Step』の調査対象国の30%が既に採用し、結核の小児患者の助けとなっていることがわかりました。今回の調査報告書が結核対策の重要性を改めて強調し、各国の取り組み拡大のきっかけとなるよう願っています」
(注1)「カテゴリーII」の再治療方式:「カテゴリーII」の再治療方式は、既治療歴のある結核患者全員に推奨されてきたもので、ストレプトマイシンを通常の第一選択薬に加えた上で治療方式を8ヵ月間に延長するというもの。WHOが出した最新の指針によれば、第一選択薬による再治療方式はMDR-TBには効果がなく、MDR-TBのリスクが低い地域でのみ検討対象に加えてもよいとされている。そのため有効な治療方式を用いて治療を開始するには、MDR-TBの即時発見が不可欠となる。
(注2)ストップ結核パートナーシップの「2016-2020グローバルプラン」に盛り込まれた90-(90)-90の目標は以下の通り。1. 全ての結核感染者で治療が必要な人のうち、少なくとも90%を発見し、適切な治療を開始させること(第一選択薬、第二選択薬のほか予防薬を利用)。2. 全ての結核感染者の少なくとも90%を発見する活動の一環として、もっとも弱い立場に置かれ、サービスが行き届いていないハイリスク群に代表される主要集団の少なくとも90%を発見することに注力していく。3. 安価な診療、アドヒアランスと社会的支援を通じて治療成功率を少なくとも90%に引き上げる。
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