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世界結核デ―(3月24日):多剤耐性結核が世界的脅威に
プレスリリース
2011年3月21日
国境なき医師団(MSF)は、3月24日の世界結核デーを前に、通常の抗結核薬が効かない多剤耐性結核(MDR-TB)の感染が世界的に拡大している新しいデータを踏まえ、結核への国際的な取り組みの強化を訴える。
結核に感染した患者が不適切な結核治療を受けたり、治療の中断と再開を繰り返したりした場合、標準的な治療薬が効かない薬剤耐性結核を発症する要因となる。薬剤耐性結核の治療には、副作用が激しく、より高価な薬が15種類以上必要で、治療期間も最長で2年間におよぶ。しかも通常の結核に比べて完治する確率も低く、多くの患者を苦しめている。
しかし、抗結核薬の大半は、20世紀の半ばに開発された毒性の強いもので、不快な副作用を伴う。このことが、世界で薬剤耐性結核がまん延している危機的状況を、この上なく過酷なものにしている。新しい簡易診断検査法も、コストが高く使用拡大が妨げられている。患者の命を救うためには、数時間以内の結核診断を提供できるか否かが、途上国の僻地においては深刻な問題となっている。
さらに、途上国の感染症対策を支援している世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)が新たな資金援助を全面的に中止するなど国際的な資金援助も不足し、結核感染がさらに広がる恐れが生じている。世界全体の結核患者のうち、薬剤耐性の適切な診断を受けられているのはわずか5%に満たない。また、多剤耐性結核患者のうち、適切な治療を受けられているのは全体の10%に過ぎず、これは結核感染率が高く、医療の機会が限られる地域ではさらに低くなる。
結核の感染率が最も高い国の一つである南アフリカのクワズル・ナタール州にて、MSFが2011年に結核の新しい簡易診断検査を導入した後、この地域での結核診断件数が月平均で211%増加した。また、結核感染が確認された患者のうち13.2%が、結核治療の第一選択薬として最も効果の高い抗生物質のリファンピシンへの耐性を示した。
インドでは依然として、医師の処方箋がなくても購入できる大衆薬や無秩序な保健医療ビジネスが横行し、薬剤耐性の一因となっている。毎年、推定で9万9000人が多剤耐性結核に感染しているが、十分な治療を受けられる患者は、そのうちの1%に過ぎない。
ミャンマーでは、多剤耐性結核の新規感染例は毎年9万3000件とされているが、これまでに治療を受けた患者の数は300人強にとどまっている。国際的な資金援助の不足により、5年間で1万人の多剤耐性結核患者を新たに治療する計画が策定されたが、このままでは実施できない恐れがある。
MSFは、薬剤耐性結核を抑制する新たな資金調達と、効果的で安価な診断法と薬を開発するためのいっそうの努力を、各国の政府や資金拠出者、製薬会社に呼びかけている。求められているものは、投薬期間と毒性の負担が大幅に軽減された治療法や、小児患者用の調剤、診断結果をすぐに患者へ伝えられるポイント・オブ・ケア検査(POCT)である。現場の管理運営の不備による感染拡大を防ぐために、保健分野における規制も必要とされている。
MSFインターナショナル会長 のウンニ・カルナカラ医師は、次のように述べている。
「世界の結核患者の95%が適切な診断を受けられない状態です。命に関わるこの病気との闘いには、新しい薬、研究、治療プログラム、そして、各国の資金拠出者や政府の参画が必要です。それがあって初めて、検査と治療を受け、回復する患者の数が増えるのです。世界は、これ以上、手をこまねいたまま、多剤耐性結核の脅威から目をそらしてはなりません。いまこそ、行動の時です」
-------------------------------------------
結核は、古来より存在する病気だが、結核はいまも世界で2番目に死亡者の多い病気で、通常の治療の一次選択薬に耐性を示す症例数も増えている。世界保健機関(WHO)の報告書『Global tuberculosis control』2011年版によると、2010年の結核患者は世界で1200万人と推定されている。
2011年3月21日
国境なき医師団(MSF)は、3月24日の世界結核デーを前に、通常の抗結核薬が効かない多剤耐性結核(MDR-TB)の感染が世界的に拡大している新しいデータを踏まえ、結核への国際的な取り組みの強化を訴える。
結核に感染した患者が不適切な結核治療を受けたり、治療の中断と再開を繰り返したりした場合、標準的な治療薬が効かない薬剤耐性結核を発症する要因となる。薬剤耐性結核の治療には、副作用が激しく、より高価な薬が15種類以上必要で、治療期間も最長で2年間におよぶ。しかも通常の結核に比べて完治する確率も低く、多くの患者を苦しめている。
しかし、抗結核薬の大半は、20世紀の半ばに開発された毒性の強いもので、不快な副作用を伴う。このことが、世界で薬剤耐性結核がまん延している危機的状況を、この上なく過酷なものにしている。新しい簡易診断検査法も、コストが高く使用拡大が妨げられている。患者の命を救うためには、数時間以内の結核診断を提供できるか否かが、途上国の僻地においては深刻な問題となっている。
さらに、途上国の感染症対策を支援している世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)が新たな資金援助を全面的に中止するなど国際的な資金援助も不足し、結核感染がさらに広がる恐れが生じている。世界全体の結核患者のうち、薬剤耐性の適切な診断を受けられているのはわずか5%に満たない。また、多剤耐性結核患者のうち、適切な治療を受けられているのは全体の10%に過ぎず、これは結核感染率が高く、医療の機会が限られる地域ではさらに低くなる。
結核の感染率が最も高い国の一つである南アフリカのクワズル・ナタール州にて、MSFが2011年に結核の新しい簡易診断検査を導入した後、この地域での結核診断件数が月平均で211%増加した。また、結核感染が確認された患者のうち13.2%が、結核治療の第一選択薬として最も効果の高い抗生物質のリファンピシンへの耐性を示した。
インドでは依然として、医師の処方箋がなくても購入できる大衆薬や無秩序な保健医療ビジネスが横行し、薬剤耐性の一因となっている。毎年、推定で9万9000人が多剤耐性結核に感染しているが、十分な治療を受けられる患者は、そのうちの1%に過ぎない。
ミャンマーでは、多剤耐性結核の新規感染例は毎年9万3000件とされているが、これまでに治療を受けた患者の数は300人強にとどまっている。国際的な資金援助の不足により、5年間で1万人の多剤耐性結核患者を新たに治療する計画が策定されたが、このままでは実施できない恐れがある。
MSFは、薬剤耐性結核を抑制する新たな資金調達と、効果的で安価な診断法と薬を開発するためのいっそうの努力を、各国の政府や資金拠出者、製薬会社に呼びかけている。求められているものは、投薬期間と毒性の負担が大幅に軽減された治療法や、小児患者用の調剤、診断結果をすぐに患者へ伝えられるポイント・オブ・ケア検査(POCT)である。現場の管理運営の不備による感染拡大を防ぐために、保健分野における規制も必要とされている。
MSFインターナショナル会長 のウンニ・カルナカラ医師は、次のように述べている。
「世界の結核患者の95%が適切な診断を受けられない状態です。命に関わるこの病気との闘いには、新しい薬、研究、治療プログラム、そして、各国の資金拠出者や政府の参画が必要です。それがあって初めて、検査と治療を受け、回復する患者の数が増えるのです。世界は、これ以上、手をこまねいたまま、多剤耐性結核の脅威から目をそらしてはなりません。いまこそ、行動の時です」
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結核は、古来より存在する病気だが、結核はいまも世界で2番目に死亡者の多い病気で、通常の治療の一次選択薬に耐性を示す症例数も増えている。世界保健機関(WHO)の報告書『Global tuberculosis control』2011年版によると、2010年の結核患者は世界で1200万人と推定されている。
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